はじめての韓国コスメ(前半)日韓コスメ輸出の成長比較とそれを支える主要企業
“はじめのカンコス”カテゴリでは、はじめて韓国コスメにお仕事として関わる方が韓国コスメに関連する基本情報をまとめてお伝えする記事を作成しています。
市場の外観を掴む上で、三井物産戦略研究所 酒井三千代氏による「⽇韓化粧品産業の⽐較からの考察」レポートが大変わかりやすくまとまっているので、そちらをベースに韓国コスメ市場の大枠をご紹介します。
2015年頃から急速に増加する日韓の化粧品輸出
日本の化粧品の輸出額は、2015年から急増し、2020年までの5年間で3.6倍に拡大しています。(図表1)
主に需要が急拡大している中国向けの増加が目立ち、同国向けの輸出額は過去5年で10倍以上に拡大しています。(図表2)
特徴的なのは輸出数量当たりの金額が高い点で、韓国やフランスの2倍の水準となっており(図表3)、現在、大手ブランドの製品を中心に輸出が増加しているものとみられます。
日本以上に化粧品の輸出を伸ばしているのが韓国で、コロナ禍の2020年も前年から増加し、世界全体への輸出額はフランス、米国に次ぐ輸出国であるドイツに並ぶ規模となりました。
中国向けが成長の中心にあり、全体に占める割合が5割と高い点は日本と同じですが、韓国では、ベトナムやタイなど、東南アジアの新興国への輸出額が日本の2倍以上の規模となっていて、また米国、ロシアへの輸出の伸びも顕著で、米国向けは日本の4倍、ロシア向けは17倍とその差は大きく開いています。
主要企業の日韓比較
成長を遂げている日韓の化粧品産業ですが、代表的な日韓企業の売上規模で圧倒的な存在感を示しているのが資生堂です。その一方で、輸出先での店舗展開数が多いのが韓国大手の特徴となっています。(図表4)
輸出された化粧品は、相手国の百貨店、化粧品専門店やドラッグストア、Eコマース(EC)などで販売されますが、韓国の化粧品大手アモーレパシフィックは自国外で600店舗以上、LG生活健康は400店舗以上展開しています。
成長率で他社を上回る勢いを見せているLG生活健康の時価総額は過去5年で5倍以上に拡大し、同社グループのLG電子やポスコといった輸出産業を牽引してきた代表的企業に並ぶ規模となってきています。
2021年7月末時点で時価総額は同国14位だ。また、日本には、化粧品分野で企業価値が10億ドルを上回る未上場新興企業は存在しないが、韓国では現時点でGPclubとL&P Cosmeticの2社が存在しており、大手と新興企業、双方において同国の化粧品産業への期待値が高まっていることがうかがえます。
(後半に続く)